月別アーカイブ: 2025年11月

ウィルの太陽通信~6~

皆さんこんにちは

株式会社ウィルの更新担当の中西です。

 

さて今回は

~「20年後も発電させる」ために~

 

太陽光パネルは“メンテナンスフリー”と思われがちだが、それは誤解である。
実際には、日々の環境変化にさらされる屋外設備であり、定期点検こそが発電の寿命を左右する。
11月のように比較的穏やかな天候が続く季節こそ、保守点検に最適だ。

まず点検で注目すべきは、パネル表面の状態だ。
ガラス面の割れや欠けはもちろん、反射防止コーティングの劣化、または鳥の糞や落ち葉の付着なども発電効率を下げる要因になる。
太陽光は均一に照射されることで最大出力を発揮するが、汚れや影があると「ホットスポット」と呼ばれる局所加熱を引き起こす。
これはパネル自体の寿命を短くし、最悪の場合は発火リスクにつながる。

次に、電気系統のチェックである。
パワーコンディショナ(直流を交流に変換する装置)のファンが正常に回っているか、内部の基板にホコリが堆積していないか。
また、接続箱やブレーカーの内部で端子の緩みがないかなど、専門の計測器を用いて点検を行う。
これらは目視では判断できないが、発電データを記録しておくことで、わずかな異常も検知できるようになる。

架台の腐食やボルトの緩みも見逃せない。
特に鉄骨架台では、雨水や塩害による錆の進行が早い地域もある。
塗装補修や防錆処理を定期的に施すことで、構造強度を保つことができる。
11月の乾燥した空気は補修塗料の定着にも適しており、施工効率も高い。

また、太陽光設備は「気象データとの連携」も重要である。
最近ではAIを活用したクラウド型モニタリングシステムが普及し、遠隔で出力監視が可能になっている。
こうしたシステムでは、過去データから異常傾向を予測し、メンテナンスの優先順位を自動的に提案する機能もある。
ただし、AI任せにせず、現場での実測と併用することが理想だ。

太陽光発電は20年以上稼働させることを前提に設計されている。
しかし、20年後も同じ性能を維持できるかどうかは、日々の点検次第である。
この11月を、来年度に向けた「予防保全の月」として活用してほしい。
長く発電し続けることこそが、真の再生可能エネルギーへの投資となる。

ウィルの太陽通信~5~

皆さんこんにちは

株式会社ウィルの更新担当の中西です。

 

さて今回は

~秋から冬への転換期に考える~

 

 

11月。空気が澄み渡り、陽射しがやわらかく感じられる季節だ。
この時期は太陽光発電において、意外にも「安定した効率を発揮しやすい季節」であることをご存じだろうか。
夏場の強い日射の印象が強いため、「冬は発電量が下がるのでは」と考える人が多い。だが、実際には太陽光パネルの特性上、気温が低いほど発電効率が上がる傾向がある。

太陽光パネルは半導体で構成されており、熱を持つと抵抗が増す。
真夏の炎天下では気温が高くなり、発電量が理論値よりも落ちることも多い。
一方で、11月のように気温が20度を下回る季節では、空気が乾燥して透明度が高く、直射日光を効率よく吸収できる。つまり「少ない日照時間でも高効率」という理想的な条件が整うのである。

特に、屋根設置型の住宅用パネルでは、夏の高温よりもこの季節の方が安定して稼働する。
空気中の湿度が低いため、光が散乱しにくく、入射光がストレートにセルに届く。
また、風が程よくあることも冷却効果となり、パネル温度を一定に保つ。
これらの要因が重なることで、11月は年間の中でも発電効率のバランスがよい月と言える。

この時期に注目すべき点は、太陽光発電システムのメンテナンスにも適しているということだ。
夏場に蓄積した砂埃、花粉、鳥の糞などを清掃することで、冬季の安定稼働につながる。
とくにパネル表面の汚れは光の反射率を高め、発電ロスを招くため、1割程度の出力低下を引き起こすこともある。
11月の晴天を利用し、専門業者による点検を実施することで、翌年の発電収益にも大きな差が出る。

加えて、季節の変わり目は配線やパワーコンディショナの状態も確認しておきたい。
特に寒冷地では、冬季の霜や雪の重みによる配線の緩みや断線リスクが増す。
出力が安定している今の時期に、年末に向けた「システムの健康診断」を行うことを推奨する。

太陽光発電は“夏のもの”というイメージが強いが、実際には気候が落ち着く秋から冬こそ、システムの真価が発揮される。
11月という時期を、再点検と見直しのタイミングとして捉えることが、長期的なエネルギー収益の鍵となる。